理想のコーヒーミルとは
2005年12月27日 グルメhttp://www.bigai.ne.jp/~miwa/food/coffeemill.html
理想のコーヒーミルとは
・電動コーヒーミルはモノグサ向き
現代生活様式の基本的指導原理のひとつは「便利さ」、裏がえせば物臭指向。会社では経済性とスピード。単身赴任社員には目覚し時計つきのコーヒーメーカーが、大うけするそうだ。こんな物臭太郎時代にひとつの不思議がある。手挽きのコーヒーミルだけがブームを呼んでいるのはなぜか。第一にコーヒーは挽くとき、コーヒーメークのとき、そして飲むときの三段階で香りを楽しむもの。第二に、小麦や米などとちがい、コーヒーミルは小型で、構造が簡単で発塵もない。
・高速粉砕はなぜコーヒーをまずくするか
モータ直結型の高速電動ミルは、極微粉が多量に発生し、ミル内部に付着して、容易に掃除もできない構造になっている。日が経つとこれが酸敗し、次に挽くときに混入して味を落とし、第一人体にも有害だ。高島君子著『世界のコーヒー専科』(大衆書店刊、昭和55)にはコーヒー粉砕の三つの条件のひとつとして「銀皮(種皮)や胚乳の混入は、いれたコーヒー液に渋味を出させる原因となりますから、これも除去しなければなりません」とある。また「微粉末は捨ててください」とある。銀皮と微粉末が味をわるくする元凶だ。これを除く器具はなぜか市販されていない。この器具を秘伝にしているコーヒー専門店もある。扇風機の前に吹き飛んだ銀皮や微粉を受けるための新聞紙を敷いて風の強さを加減すれば分離できる。
・コーヒーは日本刀で切るのが最高
コーヒー製造会社のミルの秘密はコーヒー専用のルページュ・ロールである。たがいに垂直にかみ合う鋭い刃をもったロールの溝でカッティングされ,発熱を防いでいる。要するにコーヒー豆はつぶすのではなく、鋭い刃で切ることである。これを手挽き用につくればよいが高価になって買い手がない。
・石臼は単なる粉砕機械ではない
粉砕メカニズムには圧縮、打撃、剪断、切断の4つの作用があるが、搗き臼は切断以外の3つの機能を兼ね供えている。市販のコーヒーミルは打撃だけだ。私は石臼の民具学的調査研究から石臼は主な粉砕機能は剪断であり、さらに混練機能も兼ね備えていることを指摘した。
・理想のコーヒーミルとは?
コーヒーは切断だけがもっともいいから、LePage crrugationはそれである。それを聞いたある超硬合金で刃物を作っている会社の社長が超硬合金で作った鋭い刃の手挽きコーヒーミルを石臼ムードで作ったことがある。10個作ったのでその1台を私のところへ持ってきた。理想をすべて満足しているので挽いたコーヒーの味はgoodだった。フランスに留学して帰った某教授が「なぜか日本にはフランスのような味がない」という。そこで超硬合金のミルを貸したところ気に入ってしまった。なかなか返してくれない。「もチョット、もチョット」。私が業を煮やして「10万円だせ」と言ったらようやく返って来た。そんなによいのだが、10万円ではトテモじゃない。現代のような余裕のないミミッチイ経済社会に本物は生きにくい。余裕ある21世紀に期待したい。
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