骨粗しょう症 背骨「骨折」治療
2005年10月24日 健康 コメント (1)http://www.origin.yomiuri.co.jp/iryou/saisin/sa451701.htm
骨粗しょう症 背骨「骨折」治療
骨粗しょう症 背骨「骨折」治療
◆骨セメント注入 痛み緩和
茨城県のA子さん(73)は3年前から、背骨が曲がり、激しい痛みで10分間も立てなくなった。医師の診断で、骨粗しょう症による圧迫骨折と判明。次第に胃が圧迫され食欲も減退、落ち込む日々だったが、聖路加国際病院(東京・築地)で骨セメントを使った「経皮的椎体(ついたい)形成術」を受けた。翌日には痛みが半減、元気に歩けるようになった。
人間の骨は年とともにもろくなる。骨の中にあるカルシウムが血液に溶け出して骨の中身(骨量)が減るからだ。骨量の低下がひどい状態が骨粗しょう症で、背骨の圧迫骨折を引き起こす主な原因だ。
背骨は、首から腰まで、24個の椎体と、椎間板がつながったものだ。骨粗しょう症で骨がもろくなると、ふとしたはずみに体の重みで、椎体がぺしゃんこにつぶれる。これが「圧迫骨折」で、背骨が曲がり、4割は痛みを伴う。
従来の治療は、数週間安静にして、鎮痛剤や骨粗しょう症の進行を抑える薬を服用したり患部を固定するコルセットを着用したりといった方法だが、慢性の痛みが残り、炊事洗濯といった立ち仕事ができなくなったり、寝返りを打てなくなったりと運動機能が低下、寝たきりやうつ状態になってしまうこともあった。
「経皮的椎体形成術」は、骨折した椎体の中に、特殊な液体とバリウムを混ぜた骨セメントを注入し、圧迫骨折による痛みを緩和する手術。1980年代にフランスで始まり、90年代後半にアメリカでも広まった。エックス線を使った血管撮影装置やCT(コンピューター断層撮影法)、MRI(磁気共鳴画像法)などの画像診断を駆使する。
まずMRIで背骨を撮影。椎体のつぶれ具合と、患者が痛みを感じる場所を照らし合わせ、治療する椎体を決める。痛みの緩和が目的なので、圧迫骨折があっても、痛みがない場所は治療しないことが多い。
手術では血管撮影装置やCTで、背骨をエックス線透視しながら、背骨に並行して通る神経(脊髄(せきずい)神経)を避け、椎体の中に、直径3ミリほどの注射針をさし、骨セメントを注入する。
どろどろの白い液体である骨セメントは30〜60分でかたまるため、手際の良さが求められる。所要時間は、処置する椎体数で異なるが、1―2時間ほど。
聖路加国際病院では、この2年間で骨粗しょう症による圧迫骨折や、がん骨転移の痛みを訴えた約50人に実施。手術翌日の午後には歩行でき、約8割に明らかな痛みの緩和が見られた。効果が高いのは骨折後1か月以内の治療という。
◆
骨セメントが椎体の外に漏れてしまうことで、神経障害や肺塞栓(そくせん)症などを起こす危険があるが、同病院放射線科部長の沼口雄治さんは、「深刻な合併症は、1度にたくさんの椎体を治療したり患者の全身状態が弱っていたりするケース」と説明。同病院では、治療する椎体は、1度に3個までにしている。
痛みが軽減されるのは、すかすかで不安定だった椎体が、セメントで固定され、強度が高まることや骨セメントを注入した時の熱などのためと見られている。
保険は適用されず、各施設で費用はまちまちだ。金沢大病院では高度先進医療として認められている。
経皮的椎体形成術を行う主な施設(放射線科が担当)
東北大病院(仙台市青葉区) (電)022・717・7000
聖路加国際病院(東京都中央区) (電)03・5550・7024
昭和大横浜北部病院(横浜市都筑区) (電)045・949・7151
聖マリアンナ医大病院(川崎市宮前区) (電)044・977・8111
三重大病院(津市) (電)059・231・5029
金沢大病院(金沢市) (電)076・265・2323
京都ルネス病院(京都府福知山市) (電)0773・22・3550
奈良県立医大病院(奈良県橿原市) (電)0744・29・8900
関西医大病院(大阪府守口市) (電)06・6992・1001
和歌山県立医大病院(和歌山市) (電)073・447・2300
中国労災病院(広島県呉市) (電)0823・72・7171
久留米大病院(福岡県久留米市) (電)0942・31・7576
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